インフルエンザワクチン 点鼻(フルミスト)と注射の違いは?メリット・デメリットを解説

こどもの病気なるほどコラム

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  • 2026.09.24
  • 乳幼児健診・予防接種

インフルエンザワクチンは点鼻と注射どちらがいい? フルミストと注射ワクチンの違い・メリット・デメリット

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この記事の要点

  • 当院では、注射のワクチンとフルミスト(点鼻ワクチン)の2種類をご用意しています。
  • 日本小児科学会は、2つのワクチンの間に「インフルエンザにかかるのを防ぐ効果の明確な優位性は確認されていない」としており、2歳以上19歳未満ではどちらも同等に推奨しています。
  • フルミストは注射の痛みがなく1回で終わる一方、生ワクチンのため、ぜん息のあるお子さん、ご家族に免疫の弱い方がいる場合などは注射のワクチンが勧められています。
  • 日本では例年12月〜3月頃に流行するため、12月中旬までに接種を終えることが望ましいとされています。

点鼻と注射、2つのインフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンには、注射する不活化ワクチン(インフルエンザHAワクチン)と、鼻にスプレーする経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)があります。フルミストは2023年3月に国内で承認され、2024/25シーズンから接種が始まったワクチンです。

インフルエンザワクチンの接種方法の違い。点鼻は鼻にスプレー、注射は腕に接種します。

2つのワクチンは、しくみが異なります。

  • 注射のワクチン(不活化ワクチン)は、ウイルスから、免疫をつくるのに必要な成分だけを抽出して作ったものです。ウイルスとしての働きはないため、接種によってインフルエンザを発症することはありません。
  • フルミスト(弱毒生ワクチン)は、病原性を弱めたインフルエンザウイルスからできています。鼻の奥でワクチンのウイルスが増えることで、鼻やのどの粘膜での免疫と、全身の免疫がつくられることが期待されています。インフルエンザにかかったときと同じような発熱などが起こることがあります。

注射ワクチンと点鼻ワクチンの比較

注射のワクチン フルミスト(点鼻)
接種方法 皮下注射 左右の鼻に1回ずつスプレー
対象年齢 生後6か月以上 2歳以上19歳未満
接種回数 13歳未満は2回(2〜4週間あける)
13歳以上は原則1回
年齢にかかわらず1シーズン1回
ワクチンの種類 不活化ワクチン 弱毒生ワクチン
主な副反応 注射した部分の赤み・腫れ・痛み、だるさ など 鼻づまり・鼻水、せき、のどの痛み など
当院の費用 1回 3,500円 1回 8,000円

※対象年齢・回数・副反応は、各ワクチンの添付文書および日本小児科学会の指針の記載によります。費用は2026年度の当院の料金です。お子さんのインフルエンザワクチンは予防接種法に基づく定期接種の対象ではない任意接種のため、健康保険は適用されません。伊丹市の予防接種実施要領(令和8年4月)でも、季節性インフルエンザで公費の負担があるのは65歳以上の方などに限られており、お子さんは対象になっていません。

年齢別の接種回数と費用。2〜12歳は注射2回で合計7,000円、点鼻1回で8,000円。13〜18歳は注射が原則1回で3,500円、点鼻1回で8,000円。注射を2回受ける場合は2〜4週間あけます。

※図は2歳以上19歳未満の方の比較です。生後6か月〜2歳未満のお子さんは注射のワクチンのみが対象です。接種できるかどうかは診察のうえ医師が判断します。

フルミスト(点鼻ワクチン)のメリット・デメリット

メリット

  • 注射の痛みがない。日本小児科学会は、子どもにとってワクチンの痛みは重大な懸念事項であり、経鼻接種で痛みを減らせることには重要な意義があるとしています。
  • 1シーズン1回で終わる。13歳未満でも2回接種の必要がなく、通院が1回で済みます。

デメリット・注意点

  • 2歳以上19歳未満の方しか受けられません。海外の臨床試験で、2歳未満では接種後に入院やぜん鳴(ゼーゼー)のリスクが増えたとの報告があります。
  • 接種後に鼻づまり・鼻水が出やすい(国内の試験で59.2%)。せき、のどの痛みも10%以上でみられます。
  • ワクチンのウイルスが周りにうつる可能性があります。接種後1〜2週間は、重い免疫不全の方との密接な接触をできるだけ避ける必要があります。
  • 接種後しばらくは、インフルエンザの迅速検査で陽性になる可能性があります。
  • インフルエンザの治療薬(タミフル、イナビルなど)と重なると、ワクチンの効果が弱まる可能性があります。

注射のワクチンのメリット・デメリット

メリット

  • 生後6か月から受けられます。生後6か月〜2歳未満のお子さんは、注射のワクチンのみが対象です。
  • ウイルスとしての働きがないため、接種によってインフルエンザを発症することはありません。
  • 日本小児科学会は、ぜん息のあるお子さんや周りに免疫の弱い方がいる場合には、注射のワクチンを推奨しています。

デメリット・注意点

  • 注射の痛みがあります。注射した部分が赤くなる、腫れる、痛むなどの症状が出ることがあります。
  • 13歳未満は2回の接種が必要です。2〜4週間あけて2回接種します。添付文書では、効果を考えると4週間あけることが望ましいとされています。

こんな場合は注射のワクチンが勧められています

日本小児科学会の指針と添付文書では、次のような場合はフルミストを受けられない、または注射のワクチンが勧められています。当てはまるかどうか分からない場合は、予約の前にご相談ください。

注射のワクチンのみが推奨されている方(日本小児科学会/お子さんに関係するものを抜粋)

  • 生後6か月〜2歳未満のお子さん、19歳以上の方
  • 免疫不全のある方、脾臓がない(無脾症の)方
  • ゼラチンアレルギーのある方(フルミストには安定剤として精製ゼラチンが含まれています)

注射のワクチンの使用が推奨されている方(日本小児科学会)

  • ぜん息のあるお子さん
  • 周りに免疫不全の方がいる場合

このほか、フルミストの添付文書では、重いぜん息がある方やゼーゼー(ぜん鳴)している方、ステロイドの飲み薬・注射や免疫抑制剤を使っている方について、注意や制限が定められています。また、アスピリンなどの一部の解熱鎮痛薬を使っている場合も注意が必要です。お薬を飲んでいるお子さんは、お薬手帳をお持ちください。

効果はどちらが高いの?

日本小児科学会は、注射のワクチンとフルミストの間に「インフルエンザにかかるのを防ぐ効果の明確な優位性は確認されていない」としています。国内では、2つのワクチンを直接比べた臨床試験は行われていません。そのうえで、2歳以上19歳未満にはどちらのワクチンも同等に推奨しています。

なお、インフルエンザワクチンは、接種すれば絶対にかからないというものではありません。厚生労働省は、発病を予防する効果が一定程度認められ、重症化を予防する効果も期待されるとしています。

「痛みが苦手」「通院を1回で済ませたい」などのご家庭の事情と、お子さんの年齢・持病・ご家族の状況をあわせて選ぶのが良いでしょう。迷われる場合はお気軽にご相談ください。

いつ受ければいい?

厚生労働省によると、日本ではインフルエンザは例年12月〜3月頃に流行し、1月末〜3月上旬にピークを迎えるため、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとされています。注射のワクチンで2回接種が必要なお子さんは、2回目までの間隔も考えて、早めにご予約ください。

また、医師が必要と認めた場合は、ほかのワクチンと同時に接種することができます。

2026年度のインフルエンザ予防接種

  • 予約受付:2026年9月1日から
  • 接種開始:2026年10月1日から
  • 注射のワクチン:1回 3,500円(生後6か月以上)
  • フルミスト(点鼻):1回 8,000円(2歳以上19歳未満)

※ワクチンの在庫状況により、予約受付を終了する場合があります。当日の体調などにより、接種を延期または見合わせる場合があります。

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よくあるご質問

Q. 13歳未満で注射を選んだ場合、費用はいくらになりますか?

A. 13歳未満は2回接種のため、1回3,500円×2回で合計7,000円です。フルミストは1回8,000円で接種が終わります。

Q. 卵アレルギーがあります。受けられますか?

A. 注射のワクチン・フルミストのどちらも、添付文書で「鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者」は、接種の判断に注意が必要な方(接種要注意者)とされています。受けられないという意味ではありませんが、事前に医師にお伝えください。

Q. ぜん息がありますが、フルミストを受けられますか?

A. 日本小児科学会は、ぜん息のあるお子さんには注射のワクチンの使用を推奨しています。フルミストの添付文書でも、重いぜん息がある方やゼーゼーしている方は、接種の判断に注意が必要な方とされています。

Q. 家族に免疫の弱い人がいます。子どもがフルミストを受けても大丈夫ですか?

A. フルミストは、ワクチンのウイルスが飛沫や接触で周りにうつる可能性があります。添付文書では、接種後1〜2週間は重い免疫不全の方との密接な関係をできるだけ避けることとされています。日本小児科学会は、周りに免疫不全の方がいる場合は注射のワクチンの使用を推奨しています。ご家族の状況は、接種前にお知らせください。

Q. 接種後に熱が出たら、インフルエンザの検査はどうなりますか?

A. フルミストの添付文書では、接種後一定期間はワクチン由来のウイルスによって迅速検査が陽性になる可能性があるとされています。受診の際は、フルミストをいつ接種したかを必ずお伝えください。

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予防接種・健診の予約 電話(072-744-1085)

アネモネこどもクリニック(兵庫県伊丹市鴻池6-9-25)
休診日:木曜午後、土曜午後、日曜・祝日

この記事の監修者

アネモネこどもクリニック 院長 横井俊明

横井 俊明よこい としあき

アネモネこどもクリニック 院長

医学博士/日本小児科学会認定 小児科専門医/日本小児神経学会認定 小児神経専門医/公認心理師

大阪市立大学(現 大阪公立大学)医学部卒業。淀川キリスト教病院小児科 医員、大阪市立大学医学部附属病院(現 大阪公立大学医学部附属病院)小児科・新生児科 講師を経て、2011年4月にアネモネこどもクリニックを開院。勤務医時代は小児神経疾患(発達遅滞・てんかんなど)と新生児医療を専門とし、現在は発達心理相談と乳幼児保健に力を入れています。

所属学会:日本小児科学会/日本小児神経学会/日本小児心身医学会/日本小児アレルギー学会

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監修日:2026年9月17日

参考文献・出典

  • 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」(2025年10月7日) PDF
  • 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方〜医療機関の皆様へ〜」(2024年9月2日) ページ
  • 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」 ページ
  • フルミスト点鼻液 添付文書(第6版) KEGG MEDICUS
  • インフルエンザHAワクチン「生研」添付文書(第10版) KEGG MEDICUS
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